自然に軟骨再生はしない?今後の軟骨再生治療にどう向き合うか?

自然治癒による軟骨再生はしないのか?

「加齢のせいか関節が痛む…」

病院勤務の私は、日々そんなお悩みで整形外科を受診する患者様を多く見ています。
多くの原因に関節部の軟骨がすり減ってしまい関節部の変形や炎症が見られます。

「皮膚や骨はケガをしても治療をすれば治るのに何で軟骨は治らないの?」

そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。

実は軟骨部分は血流が殆ど行き届かず、組織を再生させる為の細胞が供給されません。
従って関節部の軟骨は自己修復機能が非常に低く、すり減った軟骨は再生されることはありません。

 「軟骨再生治療」多くの人が悩まされる膝関節障害に新しい選択を

今までの軟骨がすり減り関節障害を起こした場合は、人工関節の手術を行うことでしか、根本的な治療になりませんでした。特に負荷が大きい膝関節の人工関節置換などは毎日のように行われています。

「今後私も膝を痛めたら人工関節をいれるしかないのか…?」

そんな膝関節症ですが、再生医療による軟骨再生に期待が高まってきています。
軟骨がすり減り、重度な変形性膝関節症を起こしてしまった場合は、人工関節が適切な場合もあるでしょう。
しかしその手前の段階であれば、これからは軟骨再生により手術や大変なリハビリを受ける必要性はなくなるかも知れません。 

注目を集める軟骨再生シートとは何か?

では一体どのようにして軟骨再生の治療を行うのでしょうか?

自己修復が困難な軟骨。
その正常な細胞を患者本人から一部採取し人工培養で細胞数を増やします。
培養した細胞をシート状に形成をし、作成した「軟骨再生シート」を損傷した軟骨部位に移植する方法がスタンダードとなっています。
時間経過とともに軟骨シートは関節部位にしっかりと結合し、本来の軟骨と同じような役割を果たすことが可能となります。

今までは「治らない・治せない」となっていた軟骨。
今後、再生医療による治療が確立し普及する事を期待して待ちましょう。

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