再生医療とは?なぜ失った臓器をもとに戻せるの?

はじめに
あなたは「再生医療」をご存知でしょうか?
2006年に山中教授のiPS研究結果が発表され、再生医療の認識が一気に広まったのではないかと思います。
しかし具体的に

「再生医療とは?」

と詳しく知っている方はそれほど多くないでしょう。
本記事では再生医療について簡単にまとめていきます。

再生医療と細胞分裂
再生医療について知るにはまずは細胞分裂とはなにか?
という事を知っておかなくてはなりません。

人間は細胞一つからはじまり、細胞分裂を繰り返し手足、目鼻や口、各臓器を形成します。
全ての臓器が形成された後も髪や、皮膚などの代謝を行うために日々細胞分裂が繰り返されます。

このような細胞分裂が私たちの体内で日々繰り返されています。
幼少期には転んで膝を擦りむくこともあるでしょう。擦り傷程度であれば細胞分裂により子供の膝は数週間後には綺麗に治っています。
しかし

「事故で手や足が欠損してしまった…」
「がんの切除で臓器を切り取った…」

このような大きな細胞の欠損に関しては細胞が対応しきれずに傷が治っても、手足が生える、切った臓器が戻るという事は基本的にありません。

そういった症例に期待されるのが再生医療です。
再生医療では「全ての臓器に分裂・増殖」が可能な細胞を試験管で培養し、移植することで失った臓器を補う事が可能です。

なぜ失った臓器をもとに戻せるの?
「全ての臓器に分裂・増殖」と簡単に言いますが、そんな簡単に失った臓器をもとに戻せるのでしょうか?それを可能にするのが、「幹細胞」という細胞です。
少し難しく感じてきたでしょうか…?でも安心してください。

幹細胞とは簡単に言えば手や足、各臓器のご先祖様にあたるような細胞です。

幹細胞は、赤ちゃんの始まり「受精卵」の中に含まれており、この細胞が分裂を繰り返すことによって人間の身体は造られていきます。

「じゃあ幹細胞が大人にもあれば失った臓器も元に戻るということですね!」
「大人にも幹細胞はないの?」

実は成人にも幹細胞はあります。
成人が持つ幹細胞は普段眠っており細胞が壊れた時に、目覚めて臓器や手足の修復を行います。
しかし受精卵の時のような強い働きはありません。
成人になって大きな組織の欠損や細胞の破壊があった場合、身体がもとに戻らないのは幹細胞が歳をとり弱くなってしまったという事ですね。

今注目されている「再生医療」とは、受精卵の際に持っていた強い力を持つ幹細胞を人工的に作り出し失った臓器を再生させるという新しい医療技術になります!
山中教授は、この人工的に作られた幹細胞を「iPS細胞」と名付けました。

まとめ
本記事では、再生医療についてまとめました!
今後の再生医療の進歩と、臨床現場への適用が待ち遠しいですね。

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